第2話で登場した謎の女の正体が明らかになりましたね。
<以下、ネタバレ注意!>
謎の女とは、シャーロック家から追放され牢獄に収監されていたシャーロックの妹ユーラスでした。サー・アーサー・コナンドイル原作にはないキャラが登場し、物語は一気に佳境へ突入。この妹、いわゆる天才なんだけど、つまるところはサイコパス。でも、人間的感情が全く無い訳ではないようで、自分の気持ちを上手く伝えることが出来ず、その代わり自身の頭脳明晰さを利用して、人の心を操り自分の内心を表現させようとしている感じ。劇中、旅客機のクルーと乗客全員が失神する中、自身を投影した少女1人のみが活動できるという緊急事態を創り出す空間能力は、とくかく、浦沢直樹の「モンスター」を思い出しました。シャーロックとワトソン、そしてマイクロフトを牢獄へおびき寄せ、シャーロックと対峙した時にネタ証しをする(強化ガラス製のつい立が取り払われていた)シーン、ゾッとしましたね。
そもそも、シャーロック自身、自分に妹が居たという認識がないこと、子供の頃に飼っていた犬は実は行方不明になった親友であったこと等、シャーロック自身も自ら記憶を上書きする程のトラウマを引きずって生きてきたことが明らかとなり、社会病質者と称していた第1シーズン当初との整合が上手く取れていて(突っ込みどころがなく)良かったです。でも、初めてご登場のシャーロック家の当主と奥方は、登場させる必要があったのか、良く分かりません。これは突っ込んでおきます。
最終回は、絶海の孤島を舞台とするあたりセットにお金がかかっていましたね。過去を振り返ってみると、「シャーロック」がNHKで放送されたのが2011年8月、そして今回の最終話が2017年7月、足掛け6年が経過した訳ですが、シリーズあたり3話構成を計4回で全12話。1話毎それぞれ劇場映画並みの予算とクオリティであることを考えると、12シリーズも継続した映画は007以外にはないと思いますので、如何に凄いドラマだったかが解ります。
最後に、テーマ音楽も良かったですね。それを聞けば映像が蘇る音作りって私には縁遠い才能ですが、さすが英国BBC。今度は、どんなドラマを観せてくれるのか今から楽しみです。